精神疾患の診察では、一般に患者との会話の中から自覚症状などを探っていきます。鬱だと話すスピードが遅くなったり、逆に躁の状態だと大きな声でたくさんしゃべったりします。そうした状態を診ながら医師が判断していきますが、従来の手法では、客観性に乏しいことがあります。こうした鬱病などの精神疾患が疑われる患者を診察する医師を人工知能(AI)で補助するしくみが考えられています。
AIは、表情や行動から患者がどんな状態にあるのかをその場で客観的に点数化します。医師の診察にAIの情報が加われば、より正確な診断を下せる可能性がでてきます。軽快しているかどうかが分かれば、薬剤が効いているかどうかの判断基準にもなります。米国ではAIによる創薬の試みも始まっています。最終的に診断を下して治療するのは人間ですが、その周辺領域ではAIの活躍が広がると思われます。
(2016年1月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)
アーカイブ
カテゴリー
カレンダー