シングルマザーは正社員として働く人は少なく、生活が苦しい家庭が多いのが現状です。母子世帯の年間平均収入は291万円であり、児童のいる世帯全体平均収入の44%の水準にとどまっています。今後厚生労働省は、一人で子どもを育てるシングルマザーの就職支援を強化します。職業安定所(ハローワーク)に2016年度から専門の就職支援相談員を配置し、シングルマザーに資格取得のための職業訓練をあっせんする窓口も設置します。正社員などへの就職に結びつけ、経済的に苦しむ家庭を後押しします。
2014年度にハローワークに求職を申し込んだシングルマザーは23.4万人であり、うち就職できたのは9.4万人にとどまります。紹介件数は減少し、就職者数は横ばい傾向です。きめ細かな対応で、シングルマザーが希望する仕事と求人のミスマッチの減少を目指しています。シングルマザーは、育児をしながら働く人が多く、働ける時間や曜日に制約が生じやすくなります。このため専門相談員は母親の生活事情や職種の希望を聞きながら、適した仕事を紹介します。
国はシングルマザーのこうした実態を受け、来年度からひとり親家庭に対し第2子以降の児童扶養手当を2倍にする方針を打ち出すなど、対策強化を急いでいます。こうしたシングルマザーへの支援は、少子化対策として極めて重要です。
(2016年1月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)