iPS細胞の医療実用化

 あらゆる臓器や組織の細胞に変化できるiPS細胞が誕生してから、今年で10年を迎えます。iPS細胞は無限に増殖でき、あらゆる種類の細胞に変化できるため、臓器や組織の低下した機能を回復させる再生医療への応用が期待されています。14年には理化学研究所が、世界で初めて目の難病加齢黄斑変性の患者へiPS細胞から作った網膜の細胞を移植しました。iPS細胞を作り、移植用の網膜の細胞にするまでには、10か月かかり、1億円以上を費やしました。
 誰もが医療で使えるようにするには、高品質なiPS細胞を安価で提供することが欠かせません。免疫拒絶反応を減らすため、日本人に多い免疫型のiPS細胞を22年度までに100種類くらいストックすることにしています。ストックのiPS細胞から心筋を作り、心臓病を治療する再生医療製品を開発する計画もあります。同じようにストックを活用して、京大がパーキンソン病、慶應大が脊椎損傷の治験を準備しています。

(2016年1月22日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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