京都大の斎藤教授らのグループは、これまでiPS細胞より始原生殖細胞(生殖細胞のもとになる細胞)をつくり、これらをマウス精巣に移植することにより、精子をつくることに成功していた。
今回の英科学誌ネイチャーの発表によれば、3つの遺伝子を直接入れることで始原生殖細胞の作製効率が4~8倍に向上し、つくるための期間も36~72時間に短縮したという研究である。しかしながら、その作製した原始生殖細胞は前回と同様、成体マウスの精巣にもどされなければならない。このような操作はヒトに臨床応用する際に大きな問題となる。
まだまだ越えなければならないハードルはいくつもあるが、精子形成に関わる遺伝子が一部解明されたという科学的意義は高いものと思われる。
(吉村 やすのり)