政府は、同じ仕事なら同じ水準の賃金を支払う同一労働同一賃金を制度化しようとしています。正規や非正規という雇用形態の違いで賃金格差をなくし、通勤手当や経費の支給額を統一します。日本では終身雇用を前提とした年功賃金を採用している企業が多く、正社員は同じ仕事をしていても勤続年数が長いほど賃金が高くなります。
小売店のパートやアルバイトは、年齢に関係なく同じ時給を払うことが多くなります。全雇用者に占める非正規雇用の割合は1999年に25%でしたが、2015年には37%まで上昇しました。非正規社員でも正規社員並みの仕事をこなしているケースも増えており、同一労働同一賃金の実現を求める声が増えています。正社員になりたいのになれない不本意非正規の働き手は331万人もいます。子育て中でフルタイムで働けない女性や若者に多いとされています。政府は非正規社員の待遇改善を賃金の底上げと、正規への転換の両面から後押ししています。
(2016年2月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)