文部科学省の調査によれば、2015年度に採用された公立学校教員の受験者に対する採用倍率は、前年度比の0.3ポイント減の5.4倍で、過去10年で最低でした。教員の人気低迷で受験者が減る一方、定年退職者が増加した小学校を中心に採用者を増やしていることが要因と考えられます。文部科学省によると、小学校では、児童数が急増した約40年前に大量採用された教員の退職に伴って、採用数が増加しています。
一方で、いじめや不登校、保護者のクレーム対応など課題が多い教育現場に対する人気は低迷しています。さらに、景気の回復基調で民間企業に流れる学生も多いことなどが、受験者数を減らす背景にあります。少子化が進み、共働き世帯が増える中、保護者と学校の関係も変化してきています。教育現場に興味を持つ学生が減少するということは由々しき問題であり、熱意のある教員が少なくなれば、より教育現場の荒廃に繋がります。わが国の教育制度そのものを抜本的に見直さなければならない時代がきています。
(2016年2月25日 読売新聞)
(吉村 やすのり)
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