震災と原発事故の後、福島県では子ども達の体力低下と肥満の増加が問題化していました。しかし、小学5年生と中学2年生を対象にした今年度の全国体力テストでは、前年の県平均を超え、小学5年女子は全国平均をわずかに上回りました。県内の小学校では、体育の授業とは別に様々な運動プログラムが取り入れられています。教育現場で行われているこうした活動は、少しずつ成果に結びついています。
福島県では、子どもの運動不足による肥満も大きな問題でしたが、肥満解消も進んでいます。17歳を対象とした文部科学省の調査によれば、標準的体重を20%以上上回る肥満傾向の割合は、2012年度、5~9歳、14歳、17歳で全国最高でした。しかし、今年度はいずれの年代でもワーストを脱しています。肥満傾向は、震災前の水準にほぼ戻っています。5年の月日が過ぎ、子ども達の体力を戻しつつあります。県内には子どものための施設が増え、除染が進んだ現在では、屋外の遊び場も珍しくなくなっているのは素晴らしいことです。
(2016年3月5日 読売新聞)
(吉村 やすのり)
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