23区に児童相談所の設置

 厚生労働省は、東京23区による児童相談所(児相)の設置を新たに認める方針を決めました。設置が進んでいない人口20万人以上の中核都市にも促すことにしています。児童虐待に対応する拠点を増やし、急増する通告や相談にきめ細かく対応できる体制をつくる狙いです。児童福祉法は都道府県と政令指定都市に児相の設置を義務づけ、希望する中核都市には設置を認めています。しかし、東京23区は規定がなく、これによって設置できない状況にありました。改正案では、23区も設置可能とした上で、施行後5年をめどに中核都市と23区に対して政府が設置に向けた支援や必要な措置を講じると定めています。
 増え続ける児童虐待に、現行の体制では対応しきれなくなっている状況にあります。区の施設で虐待が疑われる子どもに気づいても、区職員の危機感が児相に伝わらず、判断が食い違うことがよくあります。親の合意がなくても子どもを保護する法的権限は、児相にしかありません。課題は専門職員の育成です。虐待の相談や調査を担う児童福祉司の数は限られており、増加する虐待に対応ができていません。児相の職員に通告から48時間以内に子どもの安全確認をすることが求められており、業務内容も負担が大きくなっています。人材育成が急務です。

(2016年3月9日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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