産後うつ

 産後の心の問題に産後うつ病があります。産後うつは出産した女性が約1年以内に発症するとされるうつ病の一種で、子どもを産んだ後に女性の1割弱がかかるとされています。女性には、人生で二度うつ病を発症しやすい時期があります。一つは更年期、そしてもう一つが産後です。産後は特に発症しやすく、ホルモンの変化の影響もありますが、家族が増えてお母さんの仕事も増え、大切な赤ちゃんのことを心配するあまり、心がオーバーワークになることが原因となります。マタニティーブルーズとは異なり、産後2週~1カ月以内に急激に発症することが多いとされています。
 不眠や気分の落ち込みが続き、育児放棄などにつながる恐れがあります。虐待の原因ともなりうるので、家族がいち早く異変に気付き、支えることが大切です。産後は心身ともに不調が出やすくなる時期です。妊娠中から家事や育児の分担を一緒にイメージしておくことも予防に役立ちます。不調に気付いても、育児ノイローゼ気味として片付けてしまうことが多く、産後うつの知識不足は、怠けていると誤解や非難につながりかねません。男性でも産後にうつ症状が出て、仕事に行けなくなる人もいます。事前に産後うつについて知ることにより、いざという時も互いに支え合いやすくなります。

(2016年3月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。