国内では年間約85万人が新たにがんと診断されています。このうち約3割が20~64歳の就労世代です。厚生労働省によれば、仕事を持ちながら通院して治療を受けるがん患者は、65歳以上の高齢者を含めて約32万5千人にも達するといわれています。治療と仕事をいかに両立させるかは、患者や家族だけではなく、社会全体にとっても大きな課題となっています。
がん患者が通院しやすいように、厚生労働省はがん患者らが治療を受けながら働き続けるために、企業が取り組むべき支援策をまとめています。原則1日単位の年次有給休暇を1時間単位で取れる仕組みのほか、円滑に職場復帰できるよう勤務の日数や時間を短縮する試し出勤制度などの導入を求めています。働くがん患者に役立ててもらうために、国立がん研究センターがん対策情報センターは、がんと仕事のQ&Aをネット上で公開しています。がんになっても働く意欲と能力のある従業員の力をいかに生かすかは、今後の企業の戦略としても重要なものとなります。
(2016年3月26日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)
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