不妊治療に関する公的助成のあり方を考えるにあたって、医学的知見を踏まえ、より安心・安全な、妊娠。・出産に資する実施医療機関の指定要件や助成対象範囲のあり方を検討した。 助成の対象年齢は、妊娠・出産のリスクを考慮し、43歳未満とした。また43歳以上の年齢分娩率は50回に1回となること、染色体異常の頻度が高くなることも考慮された。また助成の回数は、9割のクライエントが6回までに妊娠・出産に至っているという医学的事実より、6回までとした。ただし、40歳以上では治療回数を増やしても累積分娩率は上昇しないため3回までとした。しかし、年間助成回数と助成期間はクライエントのおかれた状況が各個人に異なることが予想されるため、制限を設けないとされた。
現行の制度により助成を受けている方々への配慮として、2年間の移行期間が設けられた。またこの新制度においても助成の対象年齢や助成回数についても適宜見直しを行うことが確認された。
(座長のひとこと)
各委員の皆様の協力により、5回の委員会(他ワーキンググループ2回)で、検討会の報告書を纏めることができた。これら事業は国税によって支援されていることを考慮すれば、クライエントに安心・安全な妊娠・出産ができるような体制づくりが前提となる。わが国における生殖医療の現状を踏まえ、現時点でのベストな報告書が完成したと思う。今後は国民に対して、こうした支援事業を介して、妊娠や不妊に関する知識の普及や啓発が必要となる。
(吉村 やすのり)