国内全ての医療機関や助産所を対象に、患者の予期せぬ死亡事例が起きた場合、第三者機関への届け出と院内調査を義務付けた医療事故調査制度が、昨年10月にスタートしました。日本医療機能評価機構に届けられた医療事故の報告件数は、前年比460件増の3,654件でした。年単位の集計を始めた2005年以降で、最多になりました。2015年末時点の参加医療機関は1018施設で、339施設から報告がみられました。件数の増加については、再発を防ぐため報告の意識が定着してきたことによると思われます。
機構によると、法令に基づき報告が義務付けられている大学病院や国立病院機構の病院は243施設で3374件の報告がありました。しかし、任意で参加する医療機関の事故報告は96施設で280件にすぎません。報告義務のある医療機関と差が大きいことが問題です。医療事故に関してはまず報告し、この報告を増やすことが再発防止につながります。
(2016年3月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)
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