厚生労働省より、待機児童の解消に向けた緊急対策が発表されました。4月以降にミニ保育所の定員の上限を緩和するなどして、既存の保育施設でできるだけ多くの子どもを受け入れるようにします。待機児童の多い0~2歳児を6~19人預かるミニ保育所の定員の上限を22人に増やします。国より厳しい基準を独自で定める自治体には1人でも多くの子どもを受け入れるよう求めます。保護者に保育所を紹介する相談員の増加もします。企業内保育所の整備も積極化します。
一方、こうした対策は1つの保育所で預かる子どもが増えるため、保育士の負担が重くなり、保育の質が落ちるとの見方もあります。保育士の給与引き上げは先送りになりました。内閣府によると、児童手当など日本の家庭向けの支出は国内総生産比で1.3%程度であり、約3~4%のヨーロッパに比べて劣っています。高齢者に軸を置いた社会保障予算を子ども向けに振り向けた方が、若者の数が増えて中長期的に社会保障が安定すると思われます。
(2016年3月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)
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