近年、ひとり親世帯、特に母子世帯は増加しています。4月より厚生労働省は、離婚や死別などで父親か母親のいずれかがいないひとり親世帯の自立支援策を拡充します。低所得の親が介護福祉士や保育士などを目指して専門学校に入れば、入学準備金、資格を取得したら就職準備金をそれぞれ貸し付けます。これらの職種で5年以上働けば返還免除します。通学中の生活支援も拡充し、育児との両立の難しさから、雇用が不安定な世帯の自立を後押しします。
母子世帯の平均総所得は、遺族年金や児童扶養手当などを含め年間約235万円であり、全世帯平均の半額にも及びません。子どもを持つ世帯の平均と比べると約3割の水準です。就業率が8割にとどまり、働いてもパートやアルバイトなどの非正規雇用が5割弱を占めています。父子世帯は9割が就業しているものの、育児と両立するために短時間勤務のパートに転職するなどの例も多くなっています。厚生労働省は、一連の政策でひとり親世帯の自立を後押しするとともに、保育士や介護士らの人材確保にもつなげたい考えです。
(2016年3月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)
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