一般社団法人日本生殖医学会倫理委員会では、近年の未受精卵子および卵巣組織凍結技術の急速な進歩とその臨床応用の現況を考慮し、この技術の安全性を十分に確保し、利用希望者による正確な理解を援助するために必要な、利用者と提供施設双方において留意すべき事項を検討してきた。
本ガイドラインは、「主に悪性腫瘍の治療等、医学的介入による性腺機能の低下をきたす可能性を懸念する場合」を医学的適応とし、「加齢などの要因により性腺機能の低下をきたす可能性を懸念する場合」を社会的適応として、それぞれ提示した。その理由は、前者については、現疾患の治療へ影響を及ぼす可能性など、安全性の確保等について、より大きな問題点があることから、より丁寧で十分な説明と配慮が必要であると判断したからである。
(吉村 やすのり)