社会的適応による未受精卵子あるいは卵巣組織の凍結・保存のガイドライン

8月23日の日本生殖医学会倫理委員会で決議された未受精卵子あるいは卵巣組織の凍結・保存のガイドライン(社会的適応)の案である。

 1)加齢等の要因により性腺機能の低下をきたす可能性を懸念する場合には、未受精卵子あるいは卵巣組織(以下未受精卵子等という)を凍結保存することができる。

2)凍結・保存の対象者は、成人した女性で、未受精卵子等の採取時の年齢は40歳以上は推奨できない。また凍結保存した未受精卵子等あるいは卵巣組織の使用は45歳以上では推奨できない。

3)希望者は本人の同意に基づき、未受精卵子等を凍結・保存することができる。

4)実施にあたっては、口頭および文書を用いて、未受精卵子等の採取、凍結と保存や、凍結された未受精卵子等による生殖補助医療(顕微授精)について十分に説明し、本人の同意を得るインフォームド・コンセント(IC)を実施しなければならない。

5)未受精卵子等は、本人から破棄の意志が表明されるか、本人が死亡した場合は、直ちに破棄する。生殖可能年齢を過ぎた場合は通知の上で破棄することができる。

6)未受精卵子等を、本人の生殖以外の目的で使用することはできない。

7)本人から破棄の意志が表明され、また未受精卵子等を生殖医学の発展に資する研究に利用することを許諾をした場合は、法律や国・省庁ガイドラインに沿い、ICなどを含めた必要な手続きを改めて施行しなければならない。

 注釈

項目4)のICは凍結・保存に係る医師が以下の諸点について説明する。

(1)未受精卵子等の凍結方法ならびに予想される成績とリスク

(2)凍結保存した未受精卵子等の保存期間および破棄の手続き

(3)凍結した未受精卵子等を用いた生殖補助医療の方法および予想される成績とリスク

 この未受精卵子あるいは卵巣組織のガイドライン(案)は理事会で承認後、日本生殖医学会HP上に公開し、広く国民の意見を聴取するとともに、日本産科婦人科学会および日本受精着床学会にも意見を聴くことになっている。年内にはガイドラインを決定する予定である。

     《朝日新聞 8/24》

(吉村 やすのり)

 

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