保育士の給料

 現在の保育士不足は、処遇の悪さから保育士が集まらないのが一因とされています。保育士は子どもの発達にとって一番大事な時期の子どもを見ているのに、給料の低さは割に合わないと思われます。厚生労働省の調査によると、保育士の基本給は平均で月213千円です。これは全産業に比べて約10万円も低い額です。
 保育所の運営費は、自治体からもらう補助金が大半を占めています。親が払う保育料が2割弱で、残りは税金です。日本の社会保障支出は、育児支援などの家庭向けが極端に少ない状況です。国内総生産(GDP)比で1.3%ほどに過ぎません。出生率が2.0に近いスウェーデン(約3.6%)やフランス(約2.9%)に明らかに見劣りしています。育児支援など現役世代向けをもっと厚くすることが課題ですが、それには年金や医療など高齢者向けに偏る社会保障の配分の見直しや増税が必要になります。保育士の離職率を下げるためには、思い切った賃上げが必要です。待遇の改善により、保育の量のみならず質の改善につながるものと思われます。

(2016年4月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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