薬価とは、病院や薬局が薬剤費として受け取る薬の公定価格のことを言います。製薬会社が厚生労働省に医薬品の保険適用を申請すると、中央社会保険医療協議会が価格を承認します。薬価の見直しは、増え続ける国の医療費の伸びを抑える狙いがあります。2012年時点の薬剤費は8.5兆円で、国民医療費全体の約22%を占めています。高齢化社会のためにこの10年で3割以上増えています。
病院など医療機関は卸業者と交渉し、医薬品を薬価よりも安い値段で仕入れているケースがほとんどです。このため実際の仕入れ値と薬価の差額が医療機関の収入になります。そこでほぼ2年に1度の診療報酬改定の前年に実勢価格を調査し、それに基づいて薬価の水準を見直しています。かつては薬価と実勢価格の乖離率が20%を超え、医療機関の大きな収入になっていました。しかし、近年は8%程度です。
(2016年4月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)