ヒトの受精卵改変

 内閣府の有識者でつくる生命倫理専門調査会は、22日に、ゲノム編集という新しい技術を使って、ヒトの受精卵の遺伝子を改変する基礎研究を容認するとの報告書をまとめました。受精卵のゲノム編集は、中国の2つの研究チームが既に実施し、論文を発表しています。英国では今年の2月、受精卵を改変する研究計画が認可され、近く開始される見通しです。
 報告書では、ヒトの受精卵にゲノム編集を使う基礎研究について、先天性の難病治療や不妊治療の研究に役立つ可能性があると容認する一方、動物の受精卵を使った研究もあり、ヒトの受精卵でなければできないのかを考える必要があると慎重な対応を求めました。一方、ゲノム編集で遺伝子改変したヒトの受精卵を子宮に戻す臨床利用については、遺伝子配列の狙った場所以外に目的の遺伝子が入り込んだり、改変した遺伝子が他の遺伝子にどう影響するか分からなかったりするなど課題が多く、報告書では容認しませんでした。

(2016年4月23日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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