若年女性アスリートの健康障害―Ⅳ

疲労骨折の既往

 アスリート2,321名に対し疲労骨折経験者の割合について競技レベル別に調査を行った結果、日本代表レベル14.8%、全国大会レベル23.0%、地方大会レベル20.7%、その他のレベル17.5%でした。競技特性別にアスリート1,961名を対象とし、疲労骨折経験者の割合について調査を行った結果、技術系8.7%、持久系26.4%、審美系24.5%、重量・階級系11.3%、球技系16.5%、瞬発系21.7%でした。
 無月経に伴う低エストロゲンは生涯に渡る低骨量につながるだけではなく、アスリートにおいては疲労骨折のリスク要因となることも報告されています。疲労骨折は、練習量や強度、低いBMI、フォーム等様々な因子の影響を受けますが、最も影響を与える因子は練習量や強度と考えられます。このため、骨量が正常な選手においてもオーバーユースなどにより疲労骨折は起こり得るため、疲労骨折予防に向けての取り組みは、産婦人科医のみならず多方面でからの取り組みが必要であると考えられます。競技レベル別に疲労骨折の割合を見ると、日本代表レベルと比較し全国大会レベルで疲労骨折の割合が高いことにより、全国大会レベルの選手に対する疲労骨折予防の取り組みが、今後国際競技力向上につながる可能性も示唆されます。また、競技特性別の調査では、無月経の割合が高い持久系、審美系競技で疲労骨折の割合が高く、これらの競技の特徴は、低体重を求められる競技です。

 

(吉村 やすのり)

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