政府は、成長戦略の中で薬局や薬剤師を活用したセルフメディケーションの推進を掲げています。世界保健機関(WHO)は、セルフメディケーションを自分自身の健康に責任を持ち、軽度な体の不調は自分で手当てすることと定義しています。自己採血による糖尿病や中性脂肪などの簡易検査が、薬局でできるようになってきています。来年からは市販薬を一定額購入した場合の所得控除も始まります。
主婦など健診になかなか行けない人が自己チェックを利用すれば、健康意識を高めることができます。健診を受けている人でも、定期的にチェックすることができます。しかし、薬剤師が検査値をもとに助言をすれば、医師でないとできない診断とみなされる恐れがあります。薬剤師は必要に応じて、医療機関への受診をすすめることはできます。また、検査の精度管理や感染症の広がる恐れのある血液の取扱い、患者が誤った判断をする可能性などで懸念があるとの指摘もあります。
(2016年5月11日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)