医師過剰時代到来か―Ⅰ

医師の地域偏在と診療科偏在

 国は、医師不足解消のため2008年度から医学部定員の枠を暫定的に広げるなどして医師数を増やしてきました。しかし、人口当たりの医師数の地域格差はいまだに大きく、産婦人科などの人員不足も解消されていません。このため厚生労働省検討会では、医師偏在を解消するため、医師の配置に関する直接的な対策が必要とされています。
 2004年に始まった新しい臨床研修で、医師免許を取った若手医師は希望する医療機関で複数の診療科を経験する仕組みになりました。広い診察ができる医師の養成が狙いでしたが、若手医師の勤務先を管理してきた医局制度が崩れ、都市部や勤務形態が激務でない当直が少ないような診療科に医師が集中するようになりました。この頃から産婦人科や外科、救命救急科など24時間体制勤務の診療科で医師不足が顕著になりました。
 産婦人科医の若い世代は女性が半数を超え、分娩に携らない医師も増えています。産婦人科医になる新規医師数は2010年度をピークに毎年減少し、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会は、2014年12月抜本的な対策を取るよう緊急提言をしています。

(2016年5月22日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)

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