厚生労働省は、各自治体が保育所の定員を増やしたため、許可保育所に入れない待機児童が2000人減少したことを9月12日に公表した。安倍政権が「待機児童5年でゼロ」を掲げる中、許可保育所の定員が1年間で5万人近く増えたことは評価できる。これは待機児童が深刻である大都市圏の自治体が新設を急いだためと考えられる。
一方で、新聞報道では、許可保育所を利用できない潜在的な待機児童は数10万人いるとも言われ、自治体の待機児童の定義の曖昧さが指摘されている。たとえば保護者が休職中の場合や、保育所に入れずに育休を延長した場合が待機児童にカウントされていない自治体がほとんどである。横浜市は、「待機児童ゼロを達成した」とされているが、前述のケースを待機児童のカウントから外している。しかし、現状明らかに待機児童問題は好転しており、批判するばかりではなく、国や地方自治体が真の意味での待機児童ゼロを目指して努力している状況を応援してゆきたいと思う。そのためにも消費税の増税分をぜひとも社会保障費、とくに子育て支援に利用して頂きたい。安心して子どもを産める環境づくり、これが少子化を断ち切る近道であると思う。
《朝日新聞》
(吉村 やすのり)