色覚異常はX連鎖遺伝病であり、色を感じる目の細胞の作用にとって、赤と緑、ピンクと水色などの色の識別困難になる状態をいう。従来は小学校で全児童を対象に色覚検査が行われていたが、社会的差別につながりうるとして、1994年以降は4年次における1回だけとなり、2003年から検査が行われなくなった。また労働衛生法で職種によっては雇用者にも検査が義務付けられていたが、2001年よりこの規定も廃止された。
今回の日本眼科医会の調査では、検査をしなくなって学校生活や進学・就職において様々な弊害もでてきていることが明らかとなり、小学校や中学校で検査することができるように国に要望している。色覚異常もヒトの一つの表現型であり、色覚異常が見つかった子どもへの教師や社会の対応がより重要となってくる。また子どもが色覚異常を自覚することにより、子どもにとっても将来の進学や就職を考える上で利点は少なくないと考えられる。
(吉村 やすのり)