このたび、日本産科婦人科学会より2011年度の生殖補助医療(ART)のデータが公開された。それによれば、総治療周期総数は269,659周期であり、32,426人が誕生している。わが国の総出生児数に対するART出生児の占める割合は3.09%であり、実に32.4人に1人はARTで生まれていることになる。出生児のうち69.2%は凍結胚による出生であり、わが国の凍結技術の精巧さが窺い知れる。また、多胎率は新鮮胚および凍結胚においても5%前後であり、単一胚移植が励行されていることがわかる。
一方、妊娠率はここ数年減少している。これにはARTを受ける女性の年齢が高齢化していること、採卵するための卵巣刺激に低刺激療法が汎用されるようになったり、自然周期で採卵されることが多くなっていることが関与している。現在のART治療周期のピークは39歳であり、今後ますますARTを受ける女性の高齢化には拍車がかかるものと思われる。
(吉村 やすのり)