政府はこれまで認めてこなかった医学部を新設する方針を固めたとの報道があった。東北地方は東日本大震災以降、医師不足がより一層深刻化しており、宮城県を中心に復興支援策として医学部の新設を求める声が高まっていた。
わが国の医師の数は人口10万人あたり220名あまりで、300名を超える欧米諸国に比べると低率である。しかし、2年前より現在各大学医学部での定員が10~20名程増員になっていることも考え併せると、医師過剰時代が到来するといった状況も考慮しておかなければならない。また医学部を新設する場合、どのように教員を確保するかが問題となる。
現在の医師不足の問題は、医師の偏在に基因する。医学部の新設より、まず医師数の地域格差や選考する科の偏りの是正が優先課題と思われる。
(2013年10月10日 読売新聞掲載)
(吉村 やすのり)