大学などの研究者には、大別して2種類の研究費があります。1つは所属する大学などが配分する研究費で、もう1つは科学研究費補助金（科研費）など優れた研究を選んで与えられる競争的資金です。大学は、国から基盤経費として配分される運営交付金などをもとに研究者に資金を配っています。
国は、イノベーションのために競争的資金の比重を高めてきています。今年度の科研費の応募件数は前年度から約1.8％増え、初めて10万件を超えました。しかし、採択率は26.4％と5年連続で下がり、競争は厳しくなっています。競争的資金は短期間で成果を求められることが多く、基礎的な地味な分野は成果が得られにくく、資金の調達は難しいことが多くなり、研究者も減少してきています。
（2016年10月24日 日本経済新聞）
（吉村 やすのり）
