文部科学省の2015年度の問題行動調査によれば、全国の小中高校と特別支援学校で認知されたいじめは、前年度を3万6,468件上回る22万4,540件で、調査が始まった1985年以降で最多となりました。小学校が15万1,190件であり、2万8,456件増え過去最多でした。中学校や高校に比べ、小学校のいじめ件数が増加しており、いじめの低年齢化が著明となっています。1千人当たりの認知件数を都道府県別でみると、最多は京都の90.6件で、3.5件で最少だった佐賀とは約26倍もの開きがあります。
いじめの認知件数が過去最多になったのは、子どもの実態に即して軽微な内容もくみ取ろうと教職員が努力した結果とも考えられます。見逃しや情報を抱え込むことが問題であり、早い段階で広く捉え、悲劇に至らない対応策を取ることが大切です。保護者や地域も協力し、社会全体で引き続き注意深く取り組んでいくことが大切です。
(2016年10月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)