医師の地方定着

 厚生労働省は、地域によって医師の数が偏らないよう新たな奨学金を2017年度より導入します。国の新たな修学資金制度は毎月一定額を医学生に貸し出します。最大3千人が対象となります。具体的な貸出額は、各都道府県が独自に実施している修学資金制度をもとに決めることにしています。月10万~20万円とする都道府県が多く、国の制度もおおむね同水準になる見通しです。利用した医学生は、借りた期間の1.5倍以上の期間、医師が足りない地域の診療所などで働くと返済が免除になります。医師不足解消を担う各都道府県の地域医療支援センターの育成カリキュラムと連携することを条件にしています。現在の地域枠は、医学部の定員の一部を割り当てています。文部科学省の調べでは、2015年度時点で1,541人です。これは医学部定員数の17%を占めています。地域枠が全国で広がり始めたのは2006年度ころからです。
 2014年時点の医師数は31万人で、10年前に比べ15%増えています。しかし、都道府県により最大2倍の地域格差があります。人口10万人あたりの医師数は全国平均が234人です。都道府県別で最も多いのは京都で308人です。一方、最も少ない埼玉は153人です。福島189人や岩手192人、青森193人など東北地方も少なくなっています。東京近郊の埼玉県や千葉県は人口が多いため、人口あたりの医師数が少ないのですが、医師の数は少なくありません。しかし、東北地方は医師の絶対数が少ないことが大きな問題となっています。

(2016年10月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。