不妊治療の助成の対象

 厚生労働省は、早ければ2016年度中に婚姻関係のない事実婚カップルに対しても、不妊治療費用の一部助成を始めます。現行では法律上結婚していないと助成してもらえませんが、法律婚の縛りをなくします。多様化が進むカップルの形態に合わせて、不妊治療支援のあり方を見直すことになります。現行の助成は、女性が43歳未満の夫婦など一定の要件を満たせば1回の治療ごとに受け取れます。助成額は初回が30万円、2回目以降は15万円で6回まで受けられます。男性の治療も対象で一部の自治体は助成金に上乗せして補助しています。近年は助成件数が増加傾向にあり、2014年度には152,000件と年々増加しています。
 新制度では、助成金の要件から「結婚していること」をなくし、事実婚のカップルでも同じ金額を受け取れるようになります。法律婚と同じ年収制限を適用し、男女合算の所得が年730万円未満のカップルが支給の対象となります。こうした事実婚への支援拡大に続き、厚生労働省は来年度に不妊治療と仕事の両立を後押しするための対策も検討することにしています。この事実婚の助成への適応は、日本産科婦人科学会が体外受精の適応を挙児を希望する夫婦(婚姻関係をとわない)と変更したことによると考えられます。

(2016年10月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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