国の子どもの医療費の助成制度は、子どもの受診時の自己負担は、原則就学前が2割、小学生以上が3割です。しかし、自治体は子ども医療費助成や小児医療費助成などを独自に設けています。そのため住む場所によって負担が異なります。国の制度に上乗せし、窓口での支払いを軽減する自治体が多くなっています。通院時の助成でみると、中学生以上も対象に市区町村は2015年4月時点で全体の約7割に達しています。
子育て世代を呼び込むために、自治体は自治体は助成を増やしています。人口減少を見据え、転居を呼び込む対策などとしての色彩は強まっています。しかし、こうした助成は、安易な受診を増やしてしまうとの懸念もあります。このため国は、独自で医療費を助成する市町村に対し、国民健康保険の国庫負担を一部減らす措置を取ってきました。助成に所得制限を設けたり、低所得者への限定、子どもの成長に応じた定額負担の導入などが必要となります。国民医療費が年間40兆円を超すなか、このような制度の見直しも大切です。
(2016年11月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)