厚生労働省は、がん患者の治療と仕事の両立に向けたモデル事業を始めます。全国のがん診療連携拠点病院から10病院を選び、職場復帰の計画づくりなどを担う専門人材を配置します。両立支援コーディネーターとして、がん診療連携拠点病院に看護師、医療ソーシャルワーカーといった人材を充てることにしています。短時間勤務の適用などを企業側に要請し、体力に合わせた働き方ができるようにします。
国立がん研究センターによれば、がん患者のうち15~64歳の生産年齢人口は約3割を占めています。一方、医療技術の進歩で5年生存率は6割を超えるようになり、治療を受けながら働き続けることが可能になりました。しかし、勤務先の会社などを辞めてしまう患者は後を絶ちません。厚生労働省はこうした実態を踏まえ、患者の不安の解消に向けてモデル事業を始めます。診断直後からコーディネーターが関与し、患者を支えていく体制を作ることは有意義です。
(2017年9月16日 日本経済新聞)