看多機とは、看護小規模多機能型居宅介護の略であり、看護サービス拠点に看護師が常勤し、看護と介護のサービスを一元的に提供することをいいます。医療的なケアが必要になった要介護者が、施設に入らなくても介護サービスと医療処置を介護拠点や自宅でワンストップで受けられるのが特徴です。看多機は、2012年に介護保険の地域密着型サービスとして導入されました。しかし、看多機を提供する事業所の数は伸び悩んでいます。
退院後の在宅療養への移行支援が最も多くなってきています。看護師が胃ろうによる栄養管理やストーマ(人工肛門)の管理、たんの吸引などをします。要介護の通所時を活用し、看護師が自宅でのケア方法を家族に指導することもできます。妄想や徘徊といった行動・心理症状が目立つ認知症患者のケアも、看多機が力を発揮します。看護師が症状を観察し、症状が落ち着くような適切なケアや対応を主治医とともに進めます。末期がんの患者が、緩和ケア病棟や特別養護老人ホームなどが見つかるまでの間、看多機で痛みのケアなどを受けるケースもあります。
(2017年10月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)