妊娠糖尿病とは

 糖尿病は、加齢、肥満、遺伝などの影響で、糖代謝ホルモンのインスリンの分泌が減ったり働きが悪くなったりして、血液中のブドウ糖量(血糖値)が増え、血管障害などを引き起こす病気です。妊娠も糖尿病のリスク要因の一つです。高血糖の状態になると、赤ちゃんやお母さんに様々な合併症が起こります。妊娠中に初めて診断された糖尿病予備軍ともいえる病気が妊娠糖尿病です。赤ちゃんは胎盤を通してお母さんから糖分(ブドウ糖)をもらい、それをエネルギー源に成長します。糖を赤ちゃんに十分に届けるために、母体血を高血糖の状態にしておく必要があります。妊娠糖尿病と診断される妊婦さんは全体の36%ほどです。もともと糖尿病の素因を持っている人のほうがなりやすい傾向はありますが、誰もがかかる可能性があります。特に高齢妊娠では妊娠糖尿病に罹患する頻度が増します。
 妊娠糖尿病の治療は、食事療法が中心です。血糖値を定期的に測定しながら、80~120mg/diぐらいにキープできるよう食事のカロリーを抑えたり、少量ずつ頻繁に取ったりして、食後血糖値の上がりすぎや、空腹時の下がり過ぎを防ぎます。食事療法で十分に管理できない時は、インスリン注射を行います。産後は一旦、症状が治まりますが、将来、糖尿病にかかりやすくなります。日本人に多い2型糖尿病の女性患者の約半数が、妊娠糖尿病を経験していたという報告もあります。

(毎日新聞Anetis秋より
(吉村 やすのり)

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