大腸がんの患者の増加

 大腸がんの増加などに伴って人工肛門をつける患者が増えてきています。その数は20万人ともいわれています。装具の改良などで日常生活に大きな支障はなくなってきています。医療現場や患者の間では、ストーマと呼ばれます。ストーマを持つ人をオストメイトといいます。ストーマには筋肉がないので、排泄をコントロールできません。このため、ストーマから出る排泄物を受け止める袋状の装具をおなかに貼り付けます。排泄物がたまればトイレで捨て、装具も定期的に取り換えます。
 直腸がんなどで従来なら肛門を切除していたようなケースでも、肛門を温存したままがんを摘出する手術法が登場してきています。この場合は一時的に人工肛門をつくりますが、半年ほどで閉じ、肛門から排泄できるようになります。しかし、肛門の機能は完全に戻るわけではなく、便漏れが起こる場合などもあります。年齢など患者の背景によっては、永久ストーマをつくった方がQOLは高くなるとの報告もあります。患者は肛門を残したいという一心になりがちですが、手術後の姿を理解したうえで医師とよく相談し、手術法を選ぶことが望ましいと思われます。

(2017年10月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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