生産年齢人口(15~64歳)は、ピークの1995年より約1,000万人減少しました。生産性の向上が不可欠で、働き方の質を高めなければなりません。近年、企業が人材育成にかける費用は減少傾向にあります。正社員や非正規雇用など働き方にかかわらず、ニーズに合った能力開発の機会を利用するには、公的な支援が必要になります。安全網としての雇用保険の失業給付はもちろん必要ですが、働く人の能力開発という積極的な雇用政策が必要になります。
健康寿命が延び、キャリア形成の期間も長くなっています。中高年者を含めた社会人が学び直しに取り組めるよう、教育訓練給付制度も使いやすくすべきです。低所得者など社会的に不利な立場にいる人への支援も、厚くする必要があります。幼児教育の無償化など、早い時期からの手助けも大切です。幼児期に身につくとされる勤勉性や協調性などの非認知的能力が低いと、成長後の学力にも影響が出て、大学などの高等教育や職業能力開発を受ける意欲さえ持てなくなるという指摘もあります。
働く女性の比率は高まっていますが、パートなどの非正規が多く、意欲と能力を十分に生かした働き方にはなっていません。そもそも非正規は、正社員に比べて能力開発の機会が少なくなります。不本意な非正規社員を減らすために、国の助成金などによる、正社員転換を目標にした公的な能力開発支援は大切になります。
(2017年10月15日 読売新聞)
(吉村 やすのり)