12月23日、都市センターホテルにおいてPGSに関する公開シンポジウムが開催された。これまで日本産科婦人科学会は、着床前遺伝子診断(PGS)に対して重篤な遺伝性疾患や習慣流産に限り、症例毎に審査小委員会で慎重に審査し、許可制を取ってきた。染色体の数的異常(21、18、13-トリソミー)などのスクリーニングは許可されていない。
現在母体血による新型出生前遺伝学的検査は、遺伝カウンセリングを行うことを前提に臨床研究としてその実施を認められており、既に数多くのクライエントが検査を受けている。母体血によるスクリーニングは許されているのに、PGSが許可されないのは矛盾するとの意見も見られる。そのため日本産科婦人科学会の倫理委員会は、PGSを考える公開シンポジウムを開催した。PGSに賛成の立場、反対の立場の方々や障害者団体の方々からもたくさんの意見を頂き、大変有意義なシンポジウムとなった。
今後は、わが国としてPGSをどのように考えていくのか、もしPGSを実施するとすればどのようなことが必要なのかを日本産科婦人科学会として検討することが大切である。医学的にはわが国においても多施設でPGSの有効性を検証するような臨床研究が必要となるであろう。
(吉村 やすのり)