2018年度予算編成は、2年に1度の診療報酬改定の年です。診療報酬は薬価部分と医師らの人件費、材料費などからなり、人件費と建物や医療機器にかかる費用を本体部分といいます。本体部分は、医師会の意向を踏まえ、政府・与党内にはプラス改定が望ましいとの見方が大勢です。しかし、報酬の引き上げは、税金や保険料、患者の自己負担の増加に直結するため、財務省はマイナス改定を主張しています。
日本医師会は医師の技術料などの本体をプラス改定しなければ、医療従事者の賃上げが進まないと主張しています。しかし、報酬のプラス改定は医療機関の収入増になるものの、国民の負担も増えることになります。医師会は民間の一般賃金と比べ、医師らの賃金水準は伸びが足りないとみています。一般の賃金が3ポイント近く伸びた一方、診療報酬本体は1ポイント程度の伸びにとどまっているとしています。また、診療報酬の引き下げは病院経営が立ち行かなくなるとの指摘もあります。一方、財務省は医療機関の収入は増えていると反論しています。
(2017年11月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)