わが国は、今や年間130万人が亡くなる多死社会に突入しています。医療・介護の現場では、終末期の患者の延命治療をしない選択を尊重する動きが広がっています。苦痛を伴う処置を望まぬ人が増えていますが、わが国には延命治療を受けずに死を迎える尊厳死を認める法律はありません。本人の望む最期を実現するには、家族の同意と医師の理解が欠かせません。
安楽死とは、助かる見込みのない病人に対し本人の意思に基づき、延命治療をせず、人間としての尊厳を維持して安らかな死を迎えさせることをいいます。末期患者に薬物などを用いて死亡させる積極的安楽死と、あえて延命治療をしない消極的安楽死に大別されます。一般に、前者を安楽死、後者を尊厳死といいます。
（2017年11月27日 日本経済新聞）
（吉村 やすのり）
