偏在の実態
地方での医師不足は深刻さを増しています。2004年の臨床研修義務化によって、研修医が都市部の病院に流出した大学病院が、派遣先の病院から医師を引き揚げたことが主な要因です。病院など勤務する医師は全国に約30万人います。医師数自体は年4,000人程度ずつ増えています。人口10万人あたりでは、2004年の201人から2014年は233人に増えています。
しかし、地域による偏在が大きくなっています。都道府県間の格差に加え、同じ県内でも都市部と地方で差があります。医師が地方を敬遠する理由については、子どもの教育が不安、希望する内容の仕事ができないなどがあげられます。偏在への緊急策として、政府は2008年度から地域枠を中心とした医学部の定員増を進めています。県内外の出身者を対象に奨学金などを出し、一定年数の地域勤務を義務付けています。しかし、地域枠などの医師は流出の懸念が払拭できません。
(2017年12月4日 読売新聞)
(吉村 やすのり)