ぶどう膜炎の治療

 ぶどう膜炎は、眼球の内部で炎症を繰り返すことによって起こり、視力の低下や失明することもあります。ぶどう膜は黒目の周りの色がついた部分である虹彩、目のピントを調節する毛様体、眼球の外側の強膜の間にある脈絡膜の3つをまとめた総称です。ぶどう膜炎はここに炎症が起きます。ぶどう膜炎になると、炎症反応の影響で充血したり、まぶしさや痛みを感じたりします。透明な眼球の中に炎症細胞が入り込み、霧がかかったように視界がぼやける霧視や、蚊が飛んでいるように視界に影がちらつく飛蚊症を呈することもあります。さらに角膜の内側に炎症細胞がたまる蓄膿を起こすこともあります。
 ぶどう膜炎は様々な原因で発症します難病のベーチェット病やサルコイドーシス、自己免疫疾患のフォークト・小柳・原田病が三大ぶどう膜炎と呼ばれています。治療はステロイド薬や免疫抑制薬などが一般的でした。30~40年前まで、ベーチェット病のぶどう膜炎によって失明する患者は半数から8割にも上っていました。新薬である抗体医薬品のレミケードにより、2割程度まで減少しました。2016年にはヒュミラが三大ぶどう膜炎を含む非感染性ぶどう膜炎の薬として承認されました。点滴で投与するレミケードに対し、ヒュミラは患者が自分で皮下注射して利用できます。使い勝手が良くなり、ベーチェット病以外のぶどう膜炎にも選択肢が広がっています。治療薬は進歩していますが、発作を抑えきれない重症患者はまだ少なくありません。

(2017年12月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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