特定機能病院とは、医療法に基づき、高度医療の提供能力があるとして厚生労働大臣が承認する病院です。全国に85あり、大半が大学病院です。ベッド数400床以上、原則16以上の診療科を有し、医療事故に対応する安全管理部門があることや、通常の病院に比べ2倍程度の医師を配置するなど手厚い人員配置が要件となっています。承認されれば診療報酬が加算される優遇措置があります。
この特定機能病院のうち19の施設が、違法残業や残業代の未払いなどで労働基準監督署による是正勧告を受けています。政府は働き方改革で残業時間の上限規制導入を検討していますが、医師は原則診療を拒めない応召義務を理由に5年間、適用猶予としています。こうした違法残業をなくすには、応召義務の見直しや医師の地域、診療科による偏在解消が必要になります。そのためには、国の対策が急務ですが、いずれも解消には時間がかかり、過重労働の抑制は容易ではありません。
(吉村 やすのり)