医療介護報酬の改定

 診療報酬と介護報酬の同時改定は、2018年度の予算編成の大きな焦点でした。医療サービスの公定価格である診療報酬の改定は全体で1.19%の引き下げが決まりました。診療報酬は、診察料や入院料などの本体部分と薬価からなり、医師や看護師らの人件費や設備投資に回る本体は0.55%引き上げます。一方、薬価などは価格改定の抜本的な見直しを含め1.74%と大幅に引き下げます。
 3年に1度見直される介護サービスの公定価格の介護報酬は0.54%引き上げ、6年ぶりのプラス改定です。自民党が公約に介護離職ゼロ達成へ介護職員の処遇改善を進めると掲げていることからも、マイナス改定はありえないとの楽観論が広がっていました。
 今回のプラス改定で国費600億円だけでなく、企業や個人が支払う保険料と病院窓口で払う患者の自己負担は計1,600億円程度増えることになります。医師らの技術料などは予想以上に伸ばす一方、薬剤費抑制で予算削減目標を達成するいびつさが目立ちます。社会保障費の増大による国家の財政悪化で、国民みんなが我慢すべき時期にきています。医療費や介護費は今後急速に膨らむと見込まれ、聖域をつくらず幅広くメスを入れることも大切です。

(2017年12月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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