夜、床についてもなかなか寝つけない、夜間に目が覚める、早朝に起きてしまうといった不眠症を抱える人は、成人の2~3割に上ります。高齢になるほど増えますが、夜遅くまでスマートフォンなどを操作する若い世代でも目立つようになってきました。不眠症の患者に対しては原因を探ることが重要です。運動不足、長すぎる昼寝、カフェインやたばこの過剰摂取、寝酒などの生活習慣は、不眠の原因になります。原因を除去したり、就寝する時間の調整を指導したりするなど薬を使わない治療から始めるのが一般的です。不眠症の多くは不眠心配性です。寝られなかったらどうしょうという不安が交感神経を刺激して寝つけなくなります。就寝前はリラックスが大切です。
不眠を訴える場合、多くの人は睡眠薬を処方されます。不眠症患者で睡眠薬を処方されているのはほぼ半数の約500万人です。成人の20人に1人が睡眠薬を服用していることになります。睡眠薬の処方率は年齢が高くなるにつれて上昇し、65歳以上では男性が8.4%、女性が15.2%にも上ります。複数の睡眠薬を併用したりすることによる副作用もあります。不眠症が続くと、うつや糖尿病、高血圧、高コレステロール血症などの発症リスクが高まることが明らかになっています。不眠症の方々には、20~30分の昼寝を奨めます。日中は頭を使い、よく動くことです。
(2017年12月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)