2019年10月には消費税率が10%に引き上げられます。財政再建の茨の道はこれからです。自民党内には増税や歳出抑制に対する慎重論が多くなっています。政府は消費増税の増収分のうち1.7兆円を借金減額から教育無償化などに回すことにしています。このため国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を2020年度に黒字化する目標は先送りされました。
財務省は今の歳出抑制の目安を続ければ、2022年度に黒字化できるとしています。しかし、実質2%、名目3%という高めの成長が前提となります。歳出の抑制のキーは、歳出の34%を占める社会保障費です。社会保障費の自然増を5千億円に抑える方針を2019年度以降も維持するかどうかもポイントです。団塊の世代が75歳以上になり始める2022年度を視野に、社会保障費のさらなる圧縮が必要になります。
(2017年12月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)