人づくり革命の是非―Ⅳ

 幼児教育・保育の無償化や高等教育の負担軽減は、働く子育て世代にとっては家計への恩恵が大きく、現在の保育環境を考慮すると評価できる新たな経済政策と思われます。待機児童問題については地域と年齢のミスマッチが大きく影響しています。待機児童の7割超が、首都圏や近畿圏といった都市部に集中しています。年齢では02歳児の受け入れ施設が特に足りず、9割近くがこの年齢の子どもです。
 大学など高等教育で低所得者層に限って無償化する今回の施策は、進学率が上がる効果も期待されています。低所得世帯では、大学への進学率が低くなっています。しかし現在、私立大学の約4割は定員割れの状態で、教育の質が問われています。単に進学者を増やすことになれば、経営難の私大の延命策になりかねないとの指摘もあります。しかし、高等教育の無償化は、学生の学習意欲や成績などが支援の条件になっています。大学にも厳格な成績管理や経営情報の開示などを要件としていますが、こうした基準づくりも必要になります。
 大切なことは、若い世代の人々が子どもを持ちたいと思い、子育てをして幸せだと感じられるような社会を作ることが大切です。今回の人づくり革命に対し問題ばかりを指摘するのではなく、政治との対話の中で、より良き政策を引き出すような姿勢が必要です。ようやく芽生えた少子化対策の火を消さないようにするように心がけたいものです。

(吉村 やすのり)

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