痛みを伴う筋肉のけいれんは、多くの人が経験します。運動時や就寝中などに起こることが多く、妊娠や加齢でも起きやすくなります。ふくらはぎにある筋肉、腓腹筋で起きやすいため、腓(こむら)返りと呼ばれます。筋肉の収縮や神経の伝達に関連するカルシウムやカリウム、この2つのミネラルの働きを調整するマグネシウム不足の影響が大きいとされています。発汗などによる脱水、冷えなどによる血行不良、筋肉の衰えや疲労も原因になります。利尿剤や降圧剤など薬剤が原因の場合もあります。
こむら返りが起きたら慌てずに、つま先を体のほうにゆっくりと引き寄せて、アキレス腱を伸ばします。壁に足の裏を押しつけて伸ばしても良いでしょう。足の筋肉のマッサージや、足の指を大きく曲げ伸ばしするストレッチなどを習慣にすることが予防になります。ミネラルを含む食品を多く取ることも有効です。妊娠中の人や高齢者は、特に不足しがちなマグネシウムを意識的に摂取することが大切です。素干ししたわかめ、アーモンドなどのナッツ類に多く含まれています。運動時にこむら返りが起きやすい人は、こまめに水分と塩分の補給をすることが必要です。就寝中に起きやすい人は冷えに注意し、寝る前にコップ1杯の水や白湯を飲むと良いでしょう。
(2018年1月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)