厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は、日本の世帯数の将来推計を発表しています。それによれば、世帯主が65歳以上の高齢世帯は2040年に全世帯の44.2%を占めるようになります。2015年の36%から大幅に増え、半数に迫る勢いです。また2040年には高齢者世帯の40%が1人暮らしとなります。日本の総人口は2008年のピークから減少していますが、全世帯数は2015年の5,333万からしばらく増え、2023年に5,419万世帯でピークに達し、その後は減少していきます。平均世帯人員は2015年の2.33人から2040年に2.08人となります。世帯数が当面増える理由の一つは、1人暮らしやひとり親世帯の増加によるものです。
大きな問題は未婚の1人暮らし高齢者が増加することです。配偶者だけでなく子どももいないので、老後を家族に頼ることが難しくなります。地域の住民同士で交流し、生活の困りごとなどで助け合えるような仕組みを考えていかなければなりません。介護が必要な状態となった時に家族がいなければ、全面的に社会制度に頼ることにもなりかねません。私的年金を含め、現役時代からできる限り年金を増やすような努力が必要です。また、高齢でも働き続けることができる社会環境の整備が求められます。
(2018年1月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)