労働生産性とは、働く人がどれだけ効率的に成果を出したかを示す指標です。少ない労働時間や労働者数で売り上げや利益を伸ばすことができれば、生産性が高いと言えます。企業の場合、モノやサービスなどの売上高から、原材料費などのコストを差し引いた上で、従業員の総労働時間などで割って求めます。国レベルの労働生産性は、国内総生産(GDP)をその国の総労働時間などで割って算出します。
日本の現状は世界的に見ると、労働生産性が高いとはいえません。2016年の日本の時間あたりの労働生産性は46ドルで、首位アイルランド95.8ドルの約半分、6位米国69.6ドルの3分の2の水準です。経済協力開発機構(OECD)に加盟する35か国の中では20位です。先進7か国(G7)に限ると最下位です。企業が新たな商品やサービスを販売しても、賃金が伸び悩んでいることなどから、消費者の節約志向が強く、簡単には価格を引き上げられないことなどが原因となっています。少子化で人口増が見込めない中で、今後もGDPを大きく伸ばすことは難しいと思われます。生産性の向上には、働き方の見直しをさらに進めることが必要です。
(2018年1月25日 読売新聞)
(吉村 やすのり)