働く女性をさらに増やすためには、子育て環境の整備が必要不可欠です。現在でも子どもを保育所に預けたくても預けられないケースは多く、待機児童数は2017年4月時点で2万6千人にも達しています。厚生労働省は増える保育需要に対し、2013~2017年度までの5年間で約60万人分の施設の定員枠を増やしています。さらに2020年度までに、32万人の定員枠を新たに増やして待機児童を解消する方針です。しかし働く女性が増えれば、保育所のニーズもさらに高まります。
近年、女性の労働力率は米国やフランスを上回るようになってきています。さらに、子育て世代の女性が働くためには、夫の育児参加も必要です。しかし、男性の育児休業取得率は、2016年度で3.16%にすぎません。無駄な残業をなくし効率よく成果を出す働き方改革を進めなければ、男性が子育てをする環境も整いません。総務省の労働力調査によれば、25~44歳の非正規雇用比率は男性の11.9%に対し、女性は46.3%にも達しています。女性の労働率は上昇していますが、女性の半分は非正規です。日本の場合、正社員は長時間労働になる場合が多く、それが女性の正社員雇用を阻んでいます。男性と同じように高等教育を受けても、非正規社員になる女性は多くなっています。
(2018年2月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)